モンゴルの日本人慰霊碑を訪れて
私は先日、モンゴル・ウランバートル郊外にある「日本人慰霊碑」を訪問しました。
今年は戦後80年という節目の年を迎えます。
80年という歳月の中で、戦争の記憶を直接語り継げる人々は年々少なくなっています。
しかし、その悲劇を二度と繰り返さないためには、過去に何が起きたのかを次の世代に伝えていくことが重要です。
戦後の厳しい抑留生活の末に異国の地で亡くなった多くの日本人捕虜の存在を改めて知り、その歴史を後世に伝える意義を強く感じました。
🏥 慰霊碑の概要と歴史
慰霊碑がある場所は、ウランバートル市中心部から北東へ約7kmのダンバダルジャー地区に位置します。
この慰霊碑は第二次世界大戦後、モンゴルで抑留され亡くなった日本人捕虜約1,600名の鎮魂を目的として建てられました。
慰霊碑が建てられた場所は、もともと835名の日本人捕虜が埋葬されていた墓地跡地ですが、現在その遺骨は日本へ帰還しています。
🏵 祈りの円、重ねた歴史
祈りの広場は“円”の形で、日本を象徴する形です。
中央にはモンゴル全土の地図が刻まれ、その場所に当時の収容所跡が示されていました。
ここは、ウランバートル市内や各地で亡くなったすべての抑留者に対する鎮魂の意思を表す場です。
🌅 日の丸が浮かぶ仕掛け
記念碑の最上部には、日の光を映し出す小さな円穴が開けられています。
晴れた日にはその穴を通って太陽が差し込み、碑の壁面に美しい「日の丸」を描き出すという仕掛けがあります。
🌏 現地で感じたこと
✓移送と犠牲の歴史
1945年以降、モンゴルには約12,000–13,000人の日本人捕虜が連れてこられ、そのうち1,600人余りがこの地で命を落としました。その重さは、ただ数字だけでは想像しきれないものがあります。
✓毎年続く祈りの時間
特に「8月15日」終戦記念日前後には、駐モンゴル大使や日本人訪問者による供花が絶えず、碑前には絶え間ない祈りが捧げられていると伺いました。
✓「声」を感じる空間設計
祈りの広場は声が響き、声を届ける構造になっています。碑には、静かな祈りだけでなく、大切な声が受け継がれ、記憶され続けていると感じました。
✍️ まとめ
訪れる手段も、バス停「65-ын зогсоол」から歩くなど、現地の公共交通を使えば、思ったよりもアクセス可能です。
資料館の開放時間や霊堂の入室可否を事前に確認すると、より理解が深まると思います。
今回の訪問を通して、戦後の抑留の歴史を再認識するとともに、亡くなった方々への哀悼の気持ちを新たにしました。
モンゴルを訪れる機会があれば、ぜひ足を運んでみてください。